TOPページ > パワーアップ会議から > ダイバーシティ社会の実現
vol.20
株式会社キャリアン 代表取締役
コンサルタント
河野 真理子
組織の人的課題、マネジメント、人材育成、キャリアの分野でコンサルティングに従事。主に「多様な人材が活躍する風土(人・組織)づくり」を支援。技術経営修士(専門職)。文部科学省中央教育審議会専門委員、神奈川県教育委員会委員、労働政策研究・研修機構総合評価諮問委員など。
日本流マネジメント創造へ〜一人ひとりの中の多様な属性に目を向けて〜
遅かれ早かれ好むと好まざるに関わらず、ダイバーシティ社会になる。ただそのまま放っておいてはバラバラの集合体であり、より良くあるためには何か工夫(制度、ルール、マネジメント、互助・共助など)が必要だ。人文・社会科学分野でダイバーシティとは「個人の属性の分類」を意味する。属性には、変わらないもの、賞味・消費期限切れのもの、新たに付加されるものがあり、正の領域もあれば負の領域もある。人生100歳時代ともなれば、様々な経験から属性は増え、新たな知識・能力・価値観も生まれよう。
同質社会にいると、一つ二つの属性から人・人材の価値を固定的に捉えてしまいがちだが、それではあまりにもったいない。「年齢」が「高齢」に属す人でも、能力・ネットワークは若手に負けないこともある。「雇用」が「パート」であっても、社員より市場に詳しいこともある。
これからの管理職は、一人ひとりが包含する複数の属性に目を向け、潜在力・考え方・価値観を引き出し、仕事やチームで発揮できるよう働きかけることが重要だ。管理職の着眼力次第で、リスク回避、生産性向上、イノベーションにつなげることもできるからだ。
日本の製造業には「すり合わせ技術」という強みがあるが、人のマネジメントにおいても、「違いを尊重し、弱み・状況を補い合い、強み・得意を繋げて付加価値を創造するマネジメント技術」が日本独自の強みとして発展しても不思議は無い。
このような「組織の持続的経営と個人の生涯活躍」を実現に導くマネジメント力こそ、ダイバーシティ社会に必要であり、世界に誇れる日本流マネジメントスタイルに進化することを大いに期待している。