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vol.13
国際ジャーナリスト・エッセイスト
ドラ・トーザン Dora Tauzin
フランス・パリ生まれの生粋のパリジェンヌ。 国際ジャーナリスト・エッセイスト。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。ベルリン、ロンドン、ニューヨークで暮らす。 国連広報部勤務後、NHKテレビ「フランス語会話」の出演がきっかけで日本に住む。慶應義塾大学講師などを経て、現在、アンスティチュ・フランセ東京、アカデミー・デュ・ヴァンなどで講師を務めながら、日本とフランスの架け橋として、新聞、雑誌への執筆や、テレビ・ラジオのコメンテーターなど、多方面で活躍中。 2009年文化庁より長官表彰(文化発信部門)。2015年フランス政府よりレジオンドヌール勲章を受章。著書に「好きなことだけで生きる」(大和書房)、「愛される男の自分革命」(徳間書店)、 「フランス式いつでもどこでも自分らしく」(三笠書房) など多数。
「時間の使い方を考えることは、人生について考えること」
「ワーク・ライフ・バランス」、日本ではよく聞かれるフレーズだが、フランスにはこうした言葉はない。フランス人にとって、仕事は人生の一部分。並列に扱うのには違和感がある。「フランス人はヴァカンスのために仕事する」と冗談のように言うが、それは事実だ。日本では、「仕事のために自分の時間が犠牲になってもやむを得ない」という人がほとんどではないだろうか。もちろん、会社や国、社会のために働くというのは当たり前だが、自分の人生や時間を犠牲にしてまでやることではないと、フランス人は考える。日本とフランスを年に何度も行ったり来たりしている私にとって、日本人の長時間労働とそれに伴う生産性の低さには改善の余地があるように思う。 個人の幸せを何より優先するフランスでは、「個人が幸せになれば、家族や周りも幸せ、ひいては社会も幸せになる」というスタンス。日本は逆で、「家族や会社が調和し、幸せであること」を優先する。女性は男性に比べ、人生を楽しむことが上手で柔軟性もある。そのため、これまでの日本のシステムには入りづらい傾向がある。よって、管理職を望む女性の割合も低いのだ。
一方で、日本は「周りの目を気にする」人がとても多い。他人から「ノー」と言われることを必要以上に恐れる傾向があるように思う。「休みが取れない」「定時に帰れない」と言う日本人に、よく話を聞いてみると、「みんながそうだから」というフランス人には理解しがたい理由が返ってくることも少なくない。
フランス人が大切にしているのは「自分らしく生きること」だ。日本人も、仕事だけはなく、趣味などの自分だけの時間やヴァカンス、家族との時間というオンとオフを大切にしたらどうだろうか。また、忘れてはならないのは「アムール(愛)」のある生き方。自分らしく、また愛のある人生を生きるために、どう時間を使うかを個人も会社もフレキシブルに考えるべきだと思う。