TOPページ > パワーアップ会議から > ダイバーシティ社会の実現
vol.3
日本労働組合総連合会 副会長/JAM 副会長
ワーキングウーマン・パワーアップ会議 代表幹事
芳野 友子
1999年9月JAM中央執行委員、2007年10月連合中央執行委員を経て、2015年8月にJAM副会長、同年10月に連合副会長に就任。
お互い様が好き
「辞める理由がなかった」そう育休取得第一号の女性社員から声をかけられた。それまでは結婚したら辞めるであろう、妊娠したら辞めるであろうと、職場の雰囲気や風土はそう決め付けていたと思う。そのときすでに育児休業法成立前に職場には育児・介護休業制度があった。女性は、自宅に両立支援制度特集の組合機関紙を持ち帰っていて、それを見たお連れ合いが「こんなに良い制度があるのに、なぜ辞めるのか」と言ったらしい。その言葉で辞める理由を考えたのだ。1986年に男女雇用機会均等法が施行され、女性の採用や職域は拡大した。ザル法と言われたこともあったが、職場は確実に変化した。一方で意味もなく持てはやされもした。しかし、それは長く続かなかったように記憶する。女子保護規定撤廃の議論では女性が二分され、均等法前世代と均等法世代で子どもを生み育てながら働き続けていくためにどうすべきかで大議論となった。そして、総合職の女性たちが疲れ果て退職していく人があとを立たなかった。
あれから約30年、職場環境や働き方はどう変わったのか。「失われた10年」と言われていた時代、女性の視点で見れば失われたものはなかった。改正均等法、育児休業法が育児・介護休業法に生まれ変わり、男女共同参画社会基本法やDV法の制定等女性を取り巻く環境は変化した。しかし、経済の荒波の中で活かすことができなかったように思う。ここは反省しなければならない。
本当の意味で女性が活躍する社会をどう作りあげていくのか。働き方や雇用形態、職場の人間関係、様々なことが絡み合っている中で、育児や介護で大変な人たちを支え合い安心して両立できる環境。昭和の時代の「お互い様」が好きな私は、時代と逆行するかもしれないが、そこに女性が活躍できるキーワードがあると思う。