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vol.19


国立大学法人滋賀医科大学 医学研究監理室 室長
バイオメディカル・イノベーションセンター 特任教授

小笠原 敦

東京大学大学院工学系研究科博士課程、工学博士。ソニー株式会社R&D戦略部シニアマネジャー、CTO補佐、独立行政法人産業技術総合研究所イノベーション推進本部総括主幹、独立行政法人理化学研究所研究コーディネーター、立命館大学大学院理工学研究科電気システム系教授/大学院テクノロジー・マネジメント科教授、文部科学省科学技術・学術政策研究所科学技術動向研究センター長を歴任。


量プラス質の向上がカギ

 人口が減少し高齢化も進展しつつある日本の現状において、経済発展、GDPの増大をもたらすためには、生産性の向上ともに新たなイノベーションの担い手を新たに育成していくことが重要となる。
 ここで最も留意しなくてはならないことが「ダイバーシティ」の概念である。
 ダイバーシティとは本来の語義は「多様性」であるが、日本では「女性活用」と同義に用いられるケースが多い。しかし本来の「多様性」の概念に立ち帰れば、「若手活用」、「外国人活用」も含むし、「高齢者活用」も含むともいえる。
 重要なのは経済発展、GDP増大には、生産に寄与する人員の絶対数(生産)の増大(量的)と、生産性(一人当たりの生産額)の向上(質的)、そして付加価値を生み出すイノベーションの数の確保(量的)と独創性の向上(質的)が必要で、そのために「多様性」がなぜ必要なのか、ということを考えるところにある。
 ダイバーシティ社会の実現とは、単に量的に女性を要職に登用して数を増やすことが目的ではなく、従来とは異なる視点からイノベーションの基礎となるアイデアを数多く提案し、更に他にはない独創性をいかに付加して質の向上が実現されるかが鍵となる。そのためには従来の型に合わせた経営者像を女性に適用して育成していくのではなく、本来備えている個性を潰すことなく能力を引き出していくことを考えなくてはならない。
 そしてこれから女性経営者・役員を目指す方々自身も、そのようなダイバーシティ社会実現のために、生産性向上やイノベーションを含めて幅広く質を高める知識を得ていく必要があるのである。







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