vol.22
早稲田大学大学院商学研究科・早稲田ビジネススクール教授
谷口 真美
1996年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了、博士号取得。広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻助教授,米ボストン大学大学院組織行動科学エグゼクティブ・ラウンドテーブル研究員などを経て、2003年早稲田大学大学院商学研究科助教授。2008年から現職。著書に『ダイバシティ・マネジメント 多様性をいかす組織』(白桃書房)など。
企業における多様性をいかす取り組み
大企業における女性活躍推進の取り組みは、一段落したようだ。企業人事担当者によれば、取り組み成果の判断には、今しばらく時間が必要だという。一方、海外におけるグローバル人材の活用は、昨今の円高の進展により、待ったなしの状況である。大企業のみならず、中堅・中小企業においても取り組みに拍車がかかっている。
女性の活躍推進とグローバル人材活用。両者の共通点が見いだせていない企業の多くは、女性活躍推進は「救済」、グローバル人材活用は「即戦力化」と位置付けている。女性活躍推進は、雇用機会均等法やポジティブアクションなど、国による後押しがかえって「救済」の印象を強めてしまったたようだ。他方、グローバル人材活用は「いかに事業に有効か」という切り口で取り組まれ、自然な形で進んできている。
女性活躍推進もグローバル人材活用と同様に多様な人材をいかす取り組みである。ともに他律的ではなく、企業が自律的に女性やグローバル人材を事業にいかす方法を見いだす努力を続けて欲しい。
ダイバーシティコンサルタント、キャリアコンサルタント
植田 寿乃
筑波大学芸術専門学部卒後、ベンチャーリンク、アスキーなどを経て、1991年ANAビジネスクリエイトにてマルチメディア事業部長。1998年独立し、有限会社キューを設立。「モチベーション・リーダーシップ」 「エグゼクティブのための人間力アップコース」「女性リーダー育成セミナー」等のオリジナルカリキュラムの企業研修や、「女性を活かす組織、潰す組織」「魅力あるリーダーが持つ人間力とは」等の講演を多数実施。また、2007年2月からは女性活躍推進に取組む企業の情報共有の場である「女性と組織の活性化研究会」の主宰を務める。有限会社キュー代表。
女性リーダー・エンカレッジ研修を終えて
日本生産性本部主催の「女性リーダー・エンカレッジ研修」を2日間合宿で実施してきた。参加者の顔触れは、部下を持つ女性管理職・リーダーが半数であり、企業が女性の活躍を強く求めてきたのではないかと感じる。私は、企業にもっともっと女性リーダー育成に投資をして欲しいと考える。なぜなら、男性が競争、縦ネットワークで生きるとすれば、女性は横ネットワークで共鳴していく。自分の体験を、部下たちに、同僚に分かち合う。1人の女性が成長するような体験をすれば、それは20倍、30倍の人たちに伝わっていく。女性は部下や後輩を育てる素晴らしいリーダーになっていくのだと思う。
今回の研修のように、異業種、そして様々な年代の人と交流を持つことは、自分自身の世界観を広げるだけでなく、そのまま横繋がりのネットワークとして、会社に持ち帰ることができる。これからも、彼女たちを応援し続けたい。