vol.17
ブルドックソース株式会社 代表取締役社長
ワーキングウーマン・パワーアップ会議 推進委員
池田 章子
１９６４年実践女子学園短期大学を卒業し、ブルドックソース株式会社入社。
経営企画室長、マーケティング室長兼研究所担当を経て２０００年代表取締役社長に就任、現在に至る。
復興へ向けて
この度の東日本大震災により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被害を受けられた多くの皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災者の皆様が一日も早く落ちついた生活に戻れますことをお祈りいたします。---------------------------
３月１１日に発生した東日本大震災は、原子力発電所の事故と併せて未曾有の大災害となった。被災地の復旧と東北地方の復興には時間がかかるだろう。復興には国・地方行政による明確な方向性と、東北地方という地域を再び一から作り上げるためのロードマップが必要となろう。これからは東北地方の復興を日本全体のパワーで進めていかなければならない。
被災地での入社式の風景がニュースで流れた。本来ならば胸をふくらませての入社式であったはずだ。中には家族や家を失くした新入社員達もいた。それでも各人使命感に満ちた表情で力強く決意のあいさつをしている。「この地で頑張ります、町を取り返します」と。男性も女性も人間としての誇りと力にあふれていた。
生きることは希望を見い出すことでもある。若人達の希望がこれからの日本を作っていく。そして女性達も困難な状況の中でこそ、たくましく行動力を発揮するであろう。そのパワーは復興の中心的な力となっていくに違いない。それは社会や企業の中で新たなワーキングパワーの源泉となる。私達も一企業人として少しでも復興の力添えができればと心から思う。
株式会社キャリアネットワーク 代表取締役会長
日本生産性本部 幹事会幹事
ワーク・ライフ・バランス推進会議（事務局：日本生産性本部）推進委員
河野 真理子
1981年㈱パイオニア・インターナショナル入社。1989年パイオニア㈱へ転籍後、「組織の発展と個人の成長」を理念とした人材育成中心の子会社㈱キャリアネットワークを設立、出向し常務取締役。早期より「キャリア開発」「キャリアデザイン」のプログラム開発・実施、及び「キャリアアﾄﾞバイス事業」を展開。2000年代表取締役社長。2002年同社がパイオニアより独立後現職。
東京工業大学大学院技術経営修士課程（MOT）修了。日経WOMAN企業の女性活用度調査審査委員、日経ウーマンオブザイヤー審査委員、独立行政法人労働政策研究研修機構総合評価諮問委員など。
震災から考える、これからのダイバシティ経営
2011年3月11日の東日本大震災を機に、日本企業と働く人の何かが変わった。日本全体が新たな価値観を醸成しつつ、これからすべきこと、進むべき方向性を模索している。経営者にとっては「企業の持続的経営」が、社員にとっては「働き続ける事のできる環境」が、今、何よりも大切で有難いことと再認識されているように思う。今企業にとって大切なのは、経営活動に関わる全ての人に、「一人ひとりの力を最大限に発揮させる」ことである。男だの女だの、年齢だの背景だの、区別をするゆとりはない、必要もない。もちろん多様性を活かすというプラス面のみでなく、そこには一人ひとりの「異なり」から生まれる非効率性や、教育・指導の手間、マネジメント上の葛藤も顕在化しよう。今まで「意欲と能力のある優秀な人材」のみでこなしてきた仕事も、これからは「意志と努力」を申し出る人がいたら、受け入れ、仕事を創り出し、チームとして力を発揮していくことも、日本の雇用の未来には必要ではないだろうか。
持続的経営のインフラとして、「ダイバシティ経営」は、当たり前にあるべき各社共通の経営理念の一つであることを、震災が教えてくれたように思う。
