TOPページ > パワーアップ会議から > トップインタビュー「私とメンター」
トップインタビュー「私とメンター」
日本を美しく元気に豊かにする一つのテーマがダイバーシティ
平井 新経済連盟でも、女性の活躍推進やダイバーシティ、イノベーションを起こすための環境づくりというテーマで、私がリーダーとして「知識社会型新たな就労環境実現プロジェクトチーム」を立ち上げました。実は柔軟なワークスタイルは、労働基準法できちんとサポートされていないのです。現在の労働基準法は、製造業のように管理監督者が目の前で就労を監督していることを前提とした法律なので、サービス産業やIT業界、また、グローバリゼーションで地球時間での仕事をしている方々にはそぐわないのです。それを各企業がそれぞれに工夫をしながら運営・運用をしているのが現状だと思うのです。そこをどうやって変えていくかが大きなテーマです。
![]() |
平井 おっしゃる通りです。女性にとって大きなテーマの一つである仕事と育児との両立は、ワークスタイル革新によって改善されますし、私たちの世代では介護という課題があります。これは男女問わず、共通のテーマだと思います。
アキレス 現実とのギャップが出ていますし、ワークスタイルの変革は確かに必要になると思います。それができた暁には、社会や企業がどのように変わると思われますか。
平井 間違いなく、国や地域社会が、より豊かになるのではないでしょうか。経済はグローバル化していくし、さらにインターネットが進化すると、時差こそあれ、距離を全く意識しない新しい社会構造が生まれると思います。それは、物理的な社会とは全く違う「インターネット地球儀」のようなもので、国と国との距離感や国土への感覚がかなり変わってくると思います。気がつけば、インターネット地球儀では日本はなくなっているかもしれません。私は日本が大好きです。日本でないと居酒屋はありませんから。その大好きな日本をもっと美しく元気に豊かにする一つのテーマがダイバーシティだと思っています。
音楽と芸術の世界には男女差がありません。コンクールも男性部門、女性部門と分けてはいない。オーケストラという事例を見たときに、音楽や芸術の世界が、これからの日本や経営の一つの重要なモデルになると思いました。
ヘンリー・ミンツバーグという経営学者が「経営に重要なのは左脳ではなく右脳だ」と主張しています。彼はアートとサイエンスとクラフトという3つの大きな輪でリーダーの要件を示していますが、MBAはサイエンスを教えているだけだといっています。実際の企業で日々起きていることはすべてが融合している世界ですから、右脳、アートが重要だというのです。それが正しいとするなら、まさに音楽や芸術のように男女差がない世界があるのに、なぜそれをビジネスに転用しないのか不思議に思います。
ゴールは下げないが、男性と同じ道のりを女性に求めない
アキレス メンターのお話を伺いましたが、平井社長にメンティはいらっしゃいますか。平井 女性のメンティが一人います。メンタリングで、かなり期待値を高めて、「上がってこい!」という感じで進めていたのです。ただ、今は少し修正がいるのかなと思っています。それは、自分自身が女性に男性と同じようなスタイルを求めすぎていたのかもしれないということです。スーザン・ピンカーの『なぜ女は昇進を拒むのか』という本が「男性のクローンを作ろうとするのは誤りである」という気づきをくれました。彼女はこの本の中で、競争原理やリスクテイキングが、男性の典型的な特徴であるといっています。それを女性に求めてはだめで、むしろ女性の強みというのは共感性だというのです。バーを高くすることは間違っていないと思いますが、そこに到達する方法として、男性が今まで歩んできた道のりと同じものを求めてはいけないと感じています。
アキレス それは大きな気づきですね。そこに気づいている方は少ないです。一生懸命よかれと思って言っていることが、「男性のように頑張れ」と言われているような気がしてしまう。
平井 ただ、目指すべきゴールのバーは下げたくない。決して女性だからというアファーマティブアクションではなく、あるべきシニアリーダーとしてのゴールがあると思うのです。ただ、現在の彼女と目指すべきゴールとの間のギャップをどう克服するかの道のりには、いろいろな選択肢があるということは気づいています。
アキレス 多くの場合、男性的なやり方で期待して育てるけれど、うまくいかないからバーを下げる。それで成功しないという結果になりがちです。バーはそのままで、やり方に柔軟性を持たせるというのは、とても理にかなっていますね。
少しでも自分自身を自己演出し、チャレンジしてほしい
アキレス 最後に女性への期待とメッセージをお願いします。平井 インターネットが新しい社会基盤になり、情報収集の方法や人と人との関わりが、どんどん変わってきています。FacebookやTwitterなどいろいろなソーシャルメディアを使って、人と人とのバーチャルなつながりがものすごく濃くなっていると思うのです。
一方、グローバリゼーションがますます進んでいる中で、日本は広い視野で男社会から脱却しなければ沈没するという危機感を強く感じています。
今こそ、女性だからというのではなく、誰もがステップアップして、一歩踏み出してほしいと願っています。どう踏み出すかは、一人ひとり違ってよいと思います。現状に留まってほしくない。コンフォートゾーンという言い方もありますが、少しでも自分自身を自己演出し、チャレンジしてほしいですね。
アキレス 本日は様々な視点からお話をうかがうことができました。ありがとうござました。