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開催レポート
「エンパワーメント・フォーラム2010」開催レポート
日本生産性本部と働く女性のパワーアップを応援する運動を展開している「ワーキングウーマン・パワーアップ会議」は、2010年2月18日(木)に第2回「エンパワーメント・フォーラム2010」を女性と仕事の未来館(東京・田町)にて開催し、約220名の参加のもと、基調講演および「メンター・アワード2010」の表彰式や受賞組織によるパネルディスカッションを行った。
冒頭、ワーキングウーマン・パワーアップ会議顧問 牛尾治朗日本生産性本部会長が、「ダイバーシティへの取組みが初期段階にある日本では、女性が管理職となり活躍するためには、『メンター』という、熱心に応援してくれる存在が大事であり、そういう人のいる企業が成功している。パワーアップ会議では、その取組みを支援するために『メンター・アワード』を創立し、表彰を行っている。」、また、「グローバル化する社会の中では、ジェンダフリー(性差別をしない)、レースフリー(民族差別をしない)、エイジフリー(年齢差別をしない)といった価値観で、多様な人材を活用することは当然のことである。海外で同じ立場の女性がどのような働き方をしているかを広い視野で学び、もっと自律的にもっと責任を持って、人生と仕事に向き合ってほしい。」と述べた。
さらに、「10年後の日本の未来像として、男女を問わずあらゆる人が職場で自らのやりたい仕事ができることが幸せであると考えている。本当にしたい仕事をすると60の力で働いていた人が150の力を出すようになる。年齢や時期、経験によって、したい仕事は変わるものであり、それに併せて職場を選べること。そのためには、個々人が仕事に何を求めるのかに向き合い、自分で選択をし、決断することが今後の重要な課題である。そう考えた時には男女の差などあり得ない。自分の人生設計について仕事を通して自ら考える人を作っていくためにも、女性の働き方の問題はワーク・ライフ・バランスと共に取り組んでいかなければならないことであり、パワーアップ会議ではそういう未来までを目指して支援活動をしている。」と語った。
また、基調講演には、同会議推進委員・池田章子氏(ブルドックソース椛纒\取締役社長)が「自律とチャレンジ〜女性のパワーアップに向けて」のテーマで登壇した。池田氏は入社当初からの仕事経歴について振り返り、会場の女性に向けてエールを送った。
冒頭、ワーキングウーマン・パワーアップ会議顧問 牛尾治朗日本生産性本部会長が、「ダイバーシティへの取組みが初期段階にある日本では、女性が管理職となり活躍するためには、『メンター』という、熱心に応援してくれる存在が大事であり、そういう人のいる企業が成功している。パワーアップ会議では、その取組みを支援するために『メンター・アワード』を創立し、表彰を行っている。」、また、「グローバル化する社会の中では、ジェンダフリー(性差別をしない)、レースフリー(民族差別をしない)、エイジフリー(年齢差別をしない)といった価値観で、多様な人材を活用することは当然のことである。海外で同じ立場の女性がどのような働き方をしているかを広い視野で学び、もっと自律的にもっと責任を持って、人生と仕事に向き合ってほしい。」と述べた。
さらに、「10年後の日本の未来像として、男女を問わずあらゆる人が職場で自らのやりたい仕事ができることが幸せであると考えている。本当にしたい仕事をすると60の力で働いていた人が150の力を出すようになる。年齢や時期、経験によって、したい仕事は変わるものであり、それに併せて職場を選べること。そのためには、個々人が仕事に何を求めるのかに向き合い、自分で選択をし、決断することが今後の重要な課題である。そう考えた時には男女の差などあり得ない。自分の人生設計について仕事を通して自ら考える人を作っていくためにも、女性の働き方の問題はワーク・ライフ・バランスと共に取り組んでいかなければならないことであり、パワーアップ会議ではそういう未来までを目指して支援活動をしている。」と語った。
また、基調講演には、同会議推進委員・池田章子氏(ブルドックソース椛纒\取締役社長)が「自律とチャレンジ〜女性のパワーアップに向けて」のテーマで登壇した。池田氏は入社当初からの仕事経歴について振り返り、会場の女性に向けてエールを送った。
第2回「メンター・アワード2010」表彰式開催
続いて行われた「メンター・アワード2010」表彰式では、富国生命保険(相)、キリンホールディングス梶A日本ハム鰍フ3社が組織部門優秀賞を受賞した。表彰式では、同会議推進委員の新森健之氏(住友商事叶l事部長)が以下のように講評を行った。
○富国生命保険(相) メンター制度を、約9割が全国の支社に配属されている新入社員のフォローとして2006年に導入した。特徴のひとつは公募制により自らが応募をしてきた入社2年目以上の「メンター」と、そのメンターをフォローするためのマネージャー層による「シニア・メンター」が、「チーム・メンター」を組み、チーム単位でテーマを設定し、チームの自主性に任せてメンター制度が図られている。制度導入により、新入社員の成長のほかに、メンター自身の成長や若手層の人的ネットワーク構築によるモチベーションアップ、さらには企業風土、企業文化等の明文化できないDNAを引き継ぐという効果も表れており、今では人事制度としての大きな柱として発展している。
○キリンホールディングス 女性総合職の継続就業と女性経営職のキャリア支援を目的に、メンタリングプログラムをスタートした。最初は、女性経営職のメンティ(同社ではプロテジェと呼んでいる)に対して、役員がメンターとなり、「さらに上の経営に携わる意欲の醸成」という課題の解決に取り組んだ後、総合職の女性社員に対して、メンティ経験者である女性経営職がメンターとなって、より適切なアドバイスや支援を行っていく「メンタリング・チェイン」の仕組みを作りだし、制度を拡充している。また、重要ポストへの女性登用も進み、女性総合職の5年目での離職率が大幅に低下するほか、女性経営職の割合もアップしている。
○日本ハム 食品企業として顧客の求める商品やサービスを提供していくためには、女性社員の活躍の場を広げ、活かすことが不可欠であるとして、2005 年を「女性年」に定め、男女共に活躍できる職場環境づくりに取り組み始めた。グループ全体と事業本部2つのプログラム研修を設け、受講生をバックアップするためにメンターを配置して、課題解決のための広い視野での助言やネットワーク面での援助などを行うなどの取組みの効果から女性管理職の割合が増加している。また、そのうちの事業本部の独自プログラムでは、メンターとメンティは、製造部門と営業部門で組み合せる「クロスメンター制度」が特徴的で、立ち位置の異なる業務の中でのサポートができることで、メンター・メンティともに業務上のプラス効果が表れている。
なお、今年度の個人部門は該当なしであった。
○富国生命保険(相) メンター制度を、約9割が全国の支社に配属されている新入社員のフォローとして2006年に導入した。特徴のひとつは公募制により自らが応募をしてきた入社2年目以上の「メンター」と、そのメンターをフォローするためのマネージャー層による「シニア・メンター」が、「チーム・メンター」を組み、チーム単位でテーマを設定し、チームの自主性に任せてメンター制度が図られている。制度導入により、新入社員の成長のほかに、メンター自身の成長や若手層の人的ネットワーク構築によるモチベーションアップ、さらには企業風土、企業文化等の明文化できないDNAを引き継ぐという効果も表れており、今では人事制度としての大きな柱として発展している。
○キリンホールディングス 女性総合職の継続就業と女性経営職のキャリア支援を目的に、メンタリングプログラムをスタートした。最初は、女性経営職のメンティ(同社ではプロテジェと呼んでいる)に対して、役員がメンターとなり、「さらに上の経営に携わる意欲の醸成」という課題の解決に取り組んだ後、総合職の女性社員に対して、メンティ経験者である女性経営職がメンターとなって、より適切なアドバイスや支援を行っていく「メンタリング・チェイン」の仕組みを作りだし、制度を拡充している。また、重要ポストへの女性登用も進み、女性総合職の5年目での離職率が大幅に低下するほか、女性経営職の割合もアップしている。
○日本ハム 食品企業として顧客の求める商品やサービスを提供していくためには、女性社員の活躍の場を広げ、活かすことが不可欠であるとして、2005 年を「女性年」に定め、男女共に活躍できる職場環境づくりに取り組み始めた。グループ全体と事業本部2つのプログラム研修を設け、受講生をバックアップするためにメンターを配置して、課題解決のための広い視野での助言やネットワーク面での援助などを行うなどの取組みの効果から女性管理職の割合が増加している。また、そのうちの事業本部の独自プログラムでは、メンターとメンティは、製造部門と営業部門で組み合せる「クロスメンター制度」が特徴的で、立ち位置の異なる業務の中でのサポートができることで、メンター・メンティともに業務上のプラス効果が表れている。
なお、今年度の個人部門は該当なしであった。
パネルディスカッション「女性活躍を応援するメンター」
パネルディスカッションでは、同会議推進委員のアキレス美知子氏(鰍おぞら銀行 常務執行役員人事担当)がコーディネーターを務め、同会議代表幹事 岡本直美氏(連合 会長代行/NHK労連 議長)、富国生命保険(相) 人事部人材開発グループ課長 鬼澤英生氏(「メンター・アワード2010」優秀賞受賞組織)、キリンホールディングス梶@人事総務部多様性推進プロジェクト 金井麻美子氏(「メンター・アワード2010」優秀賞受賞組織)をパネリストに迎えて、「女性活躍を応援するメンター」について話し合った。
はじめに、アキレス氏から、グローバル化や低成長、先が見えない日本経済という状況下で、従業員は、少人数で効率よく仕事を進めていくことが求められ、自分の仕事で手一杯で人の面倒まで見られないという現状がある。しかし、企業の成長には、人の成長が不可欠である。先輩後輩で助け合い、教え合う「人を育てる文化」を、いかに再構築していくのかということは、経営課題となっている。その課題に対する方策としてメンター制度が注目されているという指摘があった。その上で、昨年の日本生産性本部とワーキングウーマン・パワーアップ会議で行った「コア人材としての女性社員育成に関する調査」にふれ、メンター制度を既に導入している企業は2割弱あり、メンター制度に関心がある、これから取り組みたいと回答した企業は50%を超えている、制度の正しい理解が進めば、今後導入する企業は増えていくとの説明があった。
鬼澤氏は、同社では新入社員へのメンター制度を導入しており、公募制でメンターを応募しているため「やらされ感のない」メンターと共に、メンター制度を自分たちのものとして、創意工夫をしながらさらに進化をさせてきたと発表した。元々熱い想いを持った人たちが集まったが、人事部としても、制度に賛同してくれる人を増やすため、社内広報活動で制度の理解を得るために側面支援をした。公募制にあたって、上長の許可なしで人事に応募したのちに人事から上長へ依頼となるため、導入1年目は上長の理解を得るのに苦労したが、今は逆に上長から推薦が来るほど理解が深まっている。マネージャークラスの集合研修で説明をしたり、現役メンターが活動内容を発表する場を作るなどあらゆる機会をとらえてアピールをしてきている。
金井氏は、同社の取組みは女性活躍推進のためのメンタリングプログラムであり、「総合職女性の半数が5年後に退職していた」「身近にロールモデルがいない不安」「経営職志向や到達目標が男性と比べて相対的に低い」といった課題への解決策の一つとしてメンタリングプログラムを組み込んだと述べた。
第1ステップでは女性経営職をメンティ、役員をメンターとし、第2ステップ以降では、第1ステップでメンティを経験した女性経営職がメンター、女性総合職をメンティというように、メンティ経験者がメンターになるメンタリング・チェインを広げている。現在進行中の第3ステップでは「東京・大阪以外の地方勤務者は、身近に女性の経営職がいない」ということに着目し、地方勤務者をメンティとする展開を進めている。
岡本氏からは、「どこの企業もメンター制度はまだ取り組み始めたばかりであり、以前アキレス氏からメンタリングの話を聞いて、目から鱗が落ちた経験がある。労働組合として、女性活躍推進をどう広げていくかに注目している。企業は女性総合職や幹部候補を対象にしていることが多いと思うが、是非一般職で働いている人たちがキャリアアップをしていく仕組みを作り上げてほしい。労働組合役員就任2年目に当時の書記長に「君は"女性初"と言われて、色々と仕事をしてきたけれど、"女性初"の冠を取ったら、何をしてきたのか?」と問われた時に、何もないことに悔しい思いをした。その時の思いを踏まえて活動を行い、昨年、連合で女性初の会長代行に就任し、今に至っている。その書記長には、色々な組織ルールや交渉のやり方を教えてもらい、育ててもらった。その人の助言がなければできなかったという経験がある。人は物心ついてから一生のうちに3万〜5万人の人と出会うと言われているが、「影響を受けた人を5人挙げて下さい」と言われると、なかなか5人も挙げられないそうだ。ネットワークを広げて、影響を受け、影響を与える人になってほしい。基調講演の池田氏の話にもあったが、私も「No」を言えない。何らかの役目をする人はそういう人が多いような気がする。「Yes」と言ってみると、多くの人が助けてくれる。ぜひ自信を持ってやってみてほしい。」と話した。
最後にアキレス氏が、メンター制度は男性・女性共に有効だが、企業で働いてきた歴史の中で、男性はメンターのような関係やネットワークを既につくっていることが多い。一方で、そのようなネットワークを持っている女性は限られている。女性の潜在的なパワーを引出していくのは、経営課題であり、人事の重要な役割の一つでもある。そのためには、今回受賞された企業のように、メンター制度を効果的に使って、能力があり意欲の高い女性がより活躍するための支援を積極的に進めてほしい、と締めくくった。
プログラム終了後には、推進委員、メンター・アワード受賞者と参加者による交流会を開催し、100名近い出席者のもと、積極的なネットワーク交流が図られた。2011年にも引き続き開催予定である。
はじめに、アキレス氏から、グローバル化や低成長、先が見えない日本経済という状況下で、従業員は、少人数で効率よく仕事を進めていくことが求められ、自分の仕事で手一杯で人の面倒まで見られないという現状がある。しかし、企業の成長には、人の成長が不可欠である。先輩後輩で助け合い、教え合う「人を育てる文化」を、いかに再構築していくのかということは、経営課題となっている。その課題に対する方策としてメンター制度が注目されているという指摘があった。その上で、昨年の日本生産性本部とワーキングウーマン・パワーアップ会議で行った「コア人材としての女性社員育成に関する調査」にふれ、メンター制度を既に導入している企業は2割弱あり、メンター制度に関心がある、これから取り組みたいと回答した企業は50%を超えている、制度の正しい理解が進めば、今後導入する企業は増えていくとの説明があった。
鬼澤氏は、同社では新入社員へのメンター制度を導入しており、公募制でメンターを応募しているため「やらされ感のない」メンターと共に、メンター制度を自分たちのものとして、創意工夫をしながらさらに進化をさせてきたと発表した。元々熱い想いを持った人たちが集まったが、人事部としても、制度に賛同してくれる人を増やすため、社内広報活動で制度の理解を得るために側面支援をした。公募制にあたって、上長の許可なしで人事に応募したのちに人事から上長へ依頼となるため、導入1年目は上長の理解を得るのに苦労したが、今は逆に上長から推薦が来るほど理解が深まっている。マネージャークラスの集合研修で説明をしたり、現役メンターが活動内容を発表する場を作るなどあらゆる機会をとらえてアピールをしてきている。
金井氏は、同社の取組みは女性活躍推進のためのメンタリングプログラムであり、「総合職女性の半数が5年後に退職していた」「身近にロールモデルがいない不安」「経営職志向や到達目標が男性と比べて相対的に低い」といった課題への解決策の一つとしてメンタリングプログラムを組み込んだと述べた。
第1ステップでは女性経営職をメンティ、役員をメンターとし、第2ステップ以降では、第1ステップでメンティを経験した女性経営職がメンター、女性総合職をメンティというように、メンティ経験者がメンターになるメンタリング・チェインを広げている。現在進行中の第3ステップでは「東京・大阪以外の地方勤務者は、身近に女性の経営職がいない」ということに着目し、地方勤務者をメンティとする展開を進めている。
岡本氏からは、「どこの企業もメンター制度はまだ取り組み始めたばかりであり、以前アキレス氏からメンタリングの話を聞いて、目から鱗が落ちた経験がある。労働組合として、女性活躍推進をどう広げていくかに注目している。企業は女性総合職や幹部候補を対象にしていることが多いと思うが、是非一般職で働いている人たちがキャリアアップをしていく仕組みを作り上げてほしい。労働組合役員就任2年目に当時の書記長に「君は"女性初"と言われて、色々と仕事をしてきたけれど、"女性初"の冠を取ったら、何をしてきたのか?」と問われた時に、何もないことに悔しい思いをした。その時の思いを踏まえて活動を行い、昨年、連合で女性初の会長代行に就任し、今に至っている。その書記長には、色々な組織ルールや交渉のやり方を教えてもらい、育ててもらった。その人の助言がなければできなかったという経験がある。人は物心ついてから一生のうちに3万〜5万人の人と出会うと言われているが、「影響を受けた人を5人挙げて下さい」と言われると、なかなか5人も挙げられないそうだ。ネットワークを広げて、影響を受け、影響を与える人になってほしい。基調講演の池田氏の話にもあったが、私も「No」を言えない。何らかの役目をする人はそういう人が多いような気がする。「Yes」と言ってみると、多くの人が助けてくれる。ぜひ自信を持ってやってみてほしい。」と話した。
最後にアキレス氏が、メンター制度は男性・女性共に有効だが、企業で働いてきた歴史の中で、男性はメンターのような関係やネットワークを既につくっていることが多い。一方で、そのようなネットワークを持っている女性は限られている。女性の潜在的なパワーを引出していくのは、経営課題であり、人事の重要な役割の一つでもある。そのためには、今回受賞された企業のように、メンター制度を効果的に使って、能力があり意欲の高い女性がより活躍するための支援を積極的に進めてほしい、と締めくくった。
プログラム終了後には、推進委員、メンター・アワード受賞者と参加者による交流会を開催し、100名近い出席者のもと、積極的なネットワーク交流が図られた。2011年にも引き続き開催予定である。
(文責:事務局 企業名・役職名は開催当時のものです。)