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開催レポート

「エンパワーメント・フォーラム2009」開催レポート

 ワーキングウーマン・パワーアップ会議と社会経済生産性本部は2月24 日、「エンパワーメント・フォーラム2009」を東京都内で開催し、女性を中心とした企業の人事担当者ら約250人が参加した。組織の中で女性が活躍し成長していくには、メンターによる支援やキャリアアップの促進などが重要だとの意見が出された。

 冒頭、同会議顧問の牛尾治朗・社会経済生産性本部会長が開会あいさつし、「女性の進出が少ないままだと男性中心のワークライフバランスになってしまう懸念がある。不況が深刻化しているが、この不況を乗り越えると、新しい21世紀型の経済や企業が出てくるだろう。そこでは環境・省エネを重視し、人に優しく、雇用にもかなり重点を置いた企業経営が求められ、女性の役割は大変大きくなっていく」と主張した。
 次いで、先ごろ受賞者が発表された「メンター・アワード2009」の表彰式が行われた後、同会議の代表幹事の一人である資生堂の岩田喜美枝副社長が「女性の能力発揮で組織活性化」をテーマに基調講演を行った。
 岩田氏は「女性は子どもがいなければ男性と同じように活躍でき評価される段階まではきたが、グローバルにみると課題はまだまだ多い」として、出産・育児を機に有職女性の約7割が労働市場から退出することや管理職に占める女性比率が1割に満たないことなどを挙げた上で、「人口減少社会では、いかにいい人材を採用し、能力を発揮してもらうかは企業にとって大きな問題だ。グローバル企業と比較して日本企業の女性の活用が遅れていることは国際競争力の点からも問題だ」と指摘した。
 さらに、資生堂の女性活躍支援事例を紹介しながら、「第1ステージの『女性は子どもができたら退職が当たり前』の時代から、今は『女性はかろうじて仕事と子育てを両立』の第2ステージにきた。今後は『男女ともに子どもを育てながらしっかりキャリアアップ』の第3ステージを目指したい」と抱負を述べた。

 パネル討議「女性の活躍を応援する組織とメンター」では、P&Gエクスターミナルリレーションズディレクターの辻本由起子氏(「メンター・アワード2009」組織部門優秀賞受賞組織)、帝人CSR室長の田井久惠氏(「メンター・アワード2009」個人部門優秀賞受賞者)、ブルドックソース社長の池田章子氏(同会議推進委員)の3氏がコーディネーターの鹿嶋敬・実践女子大学教授の司会進行で議論を行った。
 辻本氏は、部下が役員や管理職の相談役になる「リバースメンター」を導入していることや、メンターを活用する際には(1)トレーニング方法を開発すること、(2)入社直後からメンター(=支援を行う人)をつけること、(3)メンティ(=支援を受ける人)育成に貢献したメンターの評価を考慮することの三つが重要であることなどにふれ、それらの施策の結果、社内にメンター活用の風土ができあがり、女性の定着率が向上したと述べた。
 田井氏は役員がメンターとなる女性幹部育成プログラムや、再雇用制度などを導入した事例を紹介しながら、女性の活躍を支援するには、人事制度やワークライフバランス施策の推進などのハードと、制度の柔軟な運用やメンタリングなどのソフトの両方に取り組むことが重要だと語った。
 池田氏は、社長就任までの自身のキャリアにふれながら、「女性が仕事を長く続けるには男性と同じような覚悟や我慢が必要」だと強調した。
 鹿嶋氏は「ワーキングウーマン・パワーアップ会議は働く女性のネットワークの形成を全国的に作っていくことを大きな目標としている。女性が気楽に交流できる組織を全国的に作っていくので、今後も積極的に参加してほしい」と呼びかけた。
 同会議は、仕事意欲に燃える女性と企業を応援し、性別ではなく個々人の意欲や能力に応じて処遇を行う、実効性のある仕組み作りを目指して、昨年9月に設立された。事務局は社会経済生産性本部が担当している。

生産性新聞 2009年3月15日号より抜粋、組織名・役職名は掲載当時のものです。)